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判例情報


平成30年(行ケ)第10077号
二酸化炭素経皮・経粘膜吸収用組成物


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 2剤にすることで経日安定性の効果を得る甲1発明の2剤成分を1剤の複合粉末剤とすることには阻害要因がある,とされた。

 事件番号等:平成30年(行ケ)第10077号(知財高裁 H31.03.20)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:株式会社クレジェンテ/株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
 キーワード:進歩性,阻害要因,2剤
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件発明は,二酸化炭素経皮吸収用組成物からなるパック化粧料を得るためのキットにおいて,得られるパック化粧料が,含水粘性組成物の粘性を利用して,二酸化炭素を組成物中に保持し,持続的に経皮吸収させることができる点に特徴を有するものと認められる。
 甲1の比較例4〜10(いずれも1剤式)では,クエン酸と炭酸水素ナトリウムを用時,水に溶解する1剤式発泡性エッセンスとすると,経日安定性に著しく劣ることが示されている。そうすると,たとえアルギン酸ナトリウムが水に溶けにくいことや,化粧料一般については,ジェルを第1剤とし,粉末を第2剤とする用時混合型のキットが周知であるとしても,酸と炭酸塩が水と接触して反応することにより二酸化炭素を発生させる組成物である甲1-1発明において,第1剤に含まれるクエン酸を,炭酸水素ナトリウムを含む第2剤に移動させて複合粉末剤とすることは,クエン酸と炭酸水素ナトリウムが2剤に分かれていることによる甲1-1発明のメリット(経日安定性)を損なうものであって,当業者がそのような変更を行うことについては阻害要因がある。また,甲1-1発明においては,アルギン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを常温固型のポリエチレングリコールで被覆することによって,用時混合する際に,炭酸ガスの泡が徐々に発生するとともに,アルギン酸ナトリウムの粘性によって安定な泡を生成し,炭酸ガスの保留性が高まるという有利な効果が発生しているものと認められるところ,当業者がそのような有利な効果が得られる構成をあえて放棄して,第2剤のアルギン酸ナトリウムを第1剤に移動して炭酸水素ナトリウムとは別の含水粘性組成物とする構成を採用する積極的な動機付けがあるとも考え難い。

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