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判例情報


平成30年(行ケ)第10022号
トレッドが高トランス含量を有するエマルジョンSBRを含むタイヤ事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本願発明における高用量シリカの量を限定したことの技術的意義は記載されていないから,そのようなシリカの用量は当業者が容易に想到できたとされた。

 事件番号等:平成30年(行ケ)第10022号(知財高裁 H30.12.26)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン/特許庁長官
 キーワード:進歩性,技術的意義,高用量のシリカ
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

本件明細書には,本願発明がシリカの用量を105~145phrと限定したことの技術的意義は記載されていないから,本願発明は,単に,105~145phrの用量のシリカを含有するという内容であると認められ,同用量を含む用量のシリカを含有するゴム組成物の発明が開示されていれば,上記用量の開示があるものと認められる。
 刊行物1に係る発明の課題は,耐摩耗性を改善することであるが,同課題は,特定範囲のTgを有する複数のジエンエラストマーのブレンドに,特定範囲のTgを有する樹脂を添加することによって解決されるものである。そして,甲22文献においては,ジエンエラストマー及び樹脂のTgを,一定範囲のものにするなどの工夫はされていないのであるから,同文献において,E-SBRとシリカを組み合わせると耐摩耗性が低下する旨の記載があるとしても,刊行物1に接した当業者は,甲22文献のジエンエラストマー及び樹脂のTgを工夫するなどして,高用量のシリカを使用したとしても,耐摩耗性の改善を図ることが可能であると認識するものと認められる。したがって,甲22文献の記載から,当業者が,E-SBRと高用量のシリカとを組み合わせることを想到できないと認めることはできない。

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