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平成29年(行ケ)第10199号
溶液から細胞を分離する細胞分離方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 「中間水」の概念を含む研究は学会賞を受賞しているから,「中間水」は,「当業者」たる当該学会の構成員や賛助会員などの関係者に明確である,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10191号(知財高裁 H30.10.29)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(請求認容)
 原告/被告:国立大学法人山形大学/特許庁長官
 キーワード:当業者,学会構成員,賛助会員,明確性要件
 関連条文:特許法36条6項2号

○知財高裁の判断

 「中間水」の概念は,本願の発明者が構築したものであることが認められるところ,本願の発明者の「中間水」の概念をその内容に含む研究は,平成21年に日本バイオマテリアル学会科学奨励賞を受賞したことが認められる。
 本願発明については,医療,生体材料等の分野における研究者,企業等が,その当業者に該当すると解されるところ,日本バイオマテリアル学会は,大学,研究機関,病院,医療機器メーカー等の研究者により構成されており,賛助会員には,化学メーカー,医療機器メーカー,製薬会社等が含まれているのであって,その構成員は,本願発明における当業者に該当すると解される。そうすると,前記(1)の研究内容は,日本バイオマテリアル学会の構成員や関係者には,平成21年の時点において,知られており,注目されていたと認められるのであって,本願明細書に記載された内容の「中間水」の概念は,本願出願時において,当業者の技術常識になっていたと認めることができるというべきである。本願明細書に記載された内容の「中間水」の量の計算方法は,本願出願時において,当業者の技術常識になっていたと認められることができる。当業者は,中間水の量の算出方法については,本願明細書の記載及び本願出願時の技術常識に基づいて明確に理解することができたというべきである。

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