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平成29年(行ケ)第10113号
シリコーン・ベースの界面活性剤を含むアルコール含有量の高い発泡性組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 甲1記載のジメチコーンと,本願発明のジメチコーンは,構造上も界面活性剤としての機能,性能上も異なるから,両者は置換可能な同等な物質ではない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10113号(知財高裁 H30.10.25)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:サラヤ株式会社/デブ アイピー リミテッド
 キーワード:実質的な相違,構造の相違,機能の相違
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 甲1には,bis-PEG-[10-20]ジメチコーンに関する記載はなく,bis-PEG/PPG-20/20ジメチコーンとbis-PEG-[10-20]ジメチコーンとが同等に使用可能であることをうかがわせる記載も見当たらない。そして,bis-PEG/PPG-20/20ジメチコーンとbis-PEG-[10-20]ジメチコーンとは構造上明らかに異なる物質である。
 次に,機能の点についてみると,界面活性剤としての機能,性能には,表面張力低下作用のみならず,各種の溶液に対する溶解度などの他の物性も影響することが明らかであるところ,これらの表面張力低下作用以外の物性を考慮した場合であっても,甲1記載のフォーム組成物において,bis-PEG/PPG-20/20ジメチコーンとbis-PEG-[10-20]ジメチコーンとが置換可能な同等な物質であると認めるに足りる証拠はない。相違点1,ひいては相違点2~4は,実質的な相違点であるというべきである。

 パリ条約4条F項は,発明の単一性を要件とした上で,第二国出願に係る発明の構成部分のうち,第一国出願に係る発明に含まれる共通の構成部分について,優先権を認める趣旨の規定と解されるから,第二国である我が国における出願につき,一の請求項において発明特定事項が選択肢で表現されている場合は,各選択肢に基づいて把握される発明について優先権の主張の効果を判断するのが相当と解される。本件発明に係る進歩性の判断基準日は,bis-PEG-20ジメチコーンを用いる発明については,優先権主張日,限定されたbis-PEG-ジメチコーンを用いる発明については,親出願に係る出願日と認められる。

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