知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > キノコ発酵エキス事件

判例情報


平成29年(行ケ)第10182号
キノコ発酵エキス事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 引用例1~3に接した当業者は,キノコが,引用例2のパントエア・アグロメランスを用いる発酵及び培養に適応し得るものと理解するから,引用発明の発酵方法に代えて,引用例2のパントエア・アグロメランスを用いる発酵に係る構成を採用する動機付けがある,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10182号(知財高裁 H30.09.19)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:有限会社バイオメディカルリサーチグループ,X/特許庁長官
 キーワード:技術分野の同一性,課題の共通性,進歩性,動機付け
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 引用発明の製造方法と引用例2記載の発酵及び培養方法は,…技術分野が同一であり,また,…免疫賦活物質の生産を目的とする点で課題が共通する。
 加えて,引用例2には,タンパク質,糖類が含まれていることがよく知られている穀物,海草,豆類の食用植物に由来する素材は,パントエア・アグロメランスを用いる発酵及び培養に適応できることの記載があること (前記(3)イ3),引用例3には,キノコが糖質又は蛋白質が豊富な食品材料であることの記載があること(前記(4)イ)に照らすと,引用例1ないし3に接した当業者においては,糖質又は蛋白質(タンパク質)が豊富な食品材料であるキノコは,穀物,海草,豆類の食用植物に由来する素材と同様に,引用例2記載のパントエア・アグロメランスを用いる発酵及び培養に適応し得るものと理解し,引用発明において,免疫賦活物質の生産をより向上させるために,「麹菌,乳酸菌および酵母の群から選択された一種または複数種」を用いて発酵させる構成に代えて,パントエア・アグロメランスを用いて発酵させる構成(相違点に係る本願発明の構成)とする動機付けがあるものと認められるから,引用例1ないし3に基づいて,相違点に係る本願発明の構成を容易に想到することができたものと認められる。

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所