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平成29年(行ケ)第10172号
抗ウィルス剤事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件明細書には,本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有することを示す薬理データも,インテグラーゼ阻害作用を示す機序についても記載されていないから,サポート要件に適合しない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10172号(知財高裁 H30.09.04)
 事件の種類(判決):無効審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:塩野義製薬株式会社/MSD株式会社
 キーワード:サポート要件,作用機序,薬理データ
 関連条文:特許法36条6項1号

○知財高裁の判断

 本件明細書には,本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有することを示す薬理データは,一つも記載されておらず,本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を示すに至る機序についても記載されていない。また,原出願日時点におけるインテグラーゼ阻害剤の構造に対するわずかな修飾変化によって,そのインテグラーゼ阻害作用に大きな差異が生じ得るとの技術常識に照らせば,本件明細書の試験例に記載された27個の化合物がインテグラーゼ阻害作用を有することを示す薬理データをもって,当業者が,本件各発明に係る化合物についてもインテグラーゼ阻害作用を有すると認識することはできない。
 さらに,原出願日時点におけるキレート配位子となり得る構造を有する分子がインテグラーゼ阻害作用を有するとは限らないとの技術常識に照らせば,本件各発明に係る化合物がキレート配位子となり得る構造を有することをもって,当業者が,本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有すると認識することはできない。
 その他,本件各発明に係る化合物がインテグラーゼ阻害作用を有すると当業者に認識させ得るような原出願日時点における技術常識も見当たらない。

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