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平成29年(行ケ)第10153号
熱間プレス用めっき鋼板事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件明細書の記載によれば、当業者は本件発明1の亜鉛系メッキの組成であれば、本件発明の課題を解決すると認識でき、また、本件発明の亜鉛系めっきが何であるかを理解できるから,サポート要件及び実施可能要件を充足する,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10153号(知財高裁 H30.06.19)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:JFEスチール株式会社/新日鐵住金株式会社
 キーワード:サポート要件,実施可能要件,めっき,表面酸化物,拡散
 関連条文:特許法36条4項1号、同条6項1号

○知財高裁の判断

 本件発明は,難プレス成形材料について熱間プレスを行っても所定の耐食性を確保でき,外観劣化が生じない熱間プレス用の鋼材を提供することを課題とするものである。
 本件明細書には,バリア層を備えた亜鉛系めっき層を設けるには,例えば通常の溶融亜鉛めっき処理を行ったのち,酸化性雰囲気中での加熱,つまり通常の合金化処理を行えばよく,このような合金化処理は,めっき層表面の酸化ばかりでなく,めっき層と母材の鋼板との間で金属拡散が行われることが記載されている。そして,本件明細書の記載によれば,亜鉛合金めっきの系として,亜鉛-鉄合金めっき,亜鉛-12%ニッケル合金めっき,亜鉛-1%コバルト合金めっき,55%アルミニウム-亜鉛合金めっき,亜鉛-5%アルミニウム合金めっき,亜鉛-クロム合金めっき,亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき,スズ-8%亜鉛合金めっき,亜鉛-マンガン合金めっきなどがあり,亜鉛系めっき層の組成は特に制限がなく,Al,Mn,Ni,Cr,Co,Mg,Sn,Pbなどの合金元素をその目的に応じて適宜量添加した亜鉛合金めっき層であってもよく,さらに,めっき方法,めっき層の組成に関係なく,加熱後の外観は均一な酸化皮膜が形成され,成形性の異常もなく,塗膜密着性及び耐食性も良好であるというのである。かかる記載に接した当業者は,本件発明1の亜鉛系めっきの組成であれば「難プレス成形材料について熱間プレスを行っても所定の耐食性を確保でき,外観劣化が生じない熱間プレス用の鋼材を提供すること」という課題も解決すると認識し得るといえる。

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