知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > 米糖化物並びに米油及び/又はイノシトールを含有する食品事件

判例情報


平成29年(行ケ)第10129号
米糖化物並びに米油及び/又はイノシトールを含有する食品事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 サポート要件の適否に関しては,発明の詳細な説明から当該発明の課題が読み取れる以上は,出願時の技術水準を考慮するのは相当ではない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10129号(知財高裁 H30.05.24)
 事件の種類(判決):取消決定取消請求(決定取消)
 原告/被告:築野食品工業株式会社/特許庁長官
 キーワード:サポート要件,出願時の技術水準,課題の認定
 関連条文:特許法36条6項1号

○知財高裁の判断

 発明が解決しようとする課題は,一般的には,出願時の技術水準に照らして未解決であった課題であるから,発明の詳細な説明に,課題に関する記載が全くないといった例外的な事情がある場合においては,技術水準から課題を認定するなどしてこれを補うことも全く許されないではないと考えられる。
しかしながら,記載要件の適否は,特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載に関する問題であるから,その判断は,第一次的にはこれらの記載に基づいてなされるべきであり,課題の認定,抽出に関しても,上記のような例外的な事情がある場合でない限りは同様であるといえる。
 したがって,出願時の技術水準等は,飽くまでその記載内容を理解するために補助的に参酌されるべき事項にすぎず,本来的には,課題を抽出するための事項として扱われるべきものではない(換言すれば,サポート要件の適否に関しては,発明の詳細な説明から当該発明の課題が読み取れる以上は,これに従って判断すれば十分なのであって,出願時の技術水準を考慮するなどという名目で,あえて周知技術や公知技術を取り込み,発明の詳細な説明に記載された課題とは異なる課題を認定することは必要でないし,相当でもない。出願時の技術水準等との比較は,行うとすれば進歩性の問題として行うべきものである。)

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所