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平成29年(行ケ)第10197号
処理可能な高熱中性子吸収Fe基合事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 特許出願手続において代理人の追加選任がされた場合におけるそれ以前から選任されていた代理人に対する拒絶査定の謄本の送達の効力が認められた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10197号(知財高裁 H30.05.30)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:シーアールエス ホールディングス インコーポレイテッド/特許庁長官
 キーワード:補正要件,明確性,実施可能要件,動機付け
 関連条文:特許法12条

○知財高裁の判断

 原告は,特許出願手続においては,代理人の追加選任がされた場合には,新たな代理人(新たな代理人が複数の場合は,その筆頭代理人)に対し,書類の送付を行う実務運用がされてきたのであって,その実務運用には法規範性が認められ,特許庁長官が,その実務運用に反する名宛人及び場所に送達をした場合,当該送達には方式の瑕疵があり,適法な送達と認められない旨主張する。
 しかし,特許法12条は,前記のとおり,代理人の個別代理を定めているから,特許庁が上記のような取扱いをしており,それが対庁協議事項集に記載されているからといって,新たな代理人以外の代理人に対する送達の効力を否定することはできないものと解される。特許庁の上記取扱いに法規範性を認めることはできず,原告の上記主張を採用することはできない。
 なお,原告の代理人であった米国の法律事務所のパートナーは,平成26年10月頃以降,それより前には定期的に連絡してきていたA弁理士から,連絡がなくなり,同年11月,A弁理士が出願を行った別件の日本特許出願につき,拒絶査定があり,A弁理士がこれに対して応答しなかったため,当該特許出願が失効していたことが判明したことを契機に,A弁理士を解任し,別の代理人に業務を引き継がせることにしたというのであるから,原告は,遅くとも代理人解任届が提出された平成27年2月25日には,上記特許出願以外の特許出願(本願を含む。)についても,A弁理士に対し,拒絶査定が送達され,同弁理士が応答していない可能性があることを認識し得たといえる。しかし,原告は,平成27年2月25日当時は,拒絶査定不服審判請求が可能である期間中であったにもかかわらず,当該請求を行わず,当該期間を徒過したのであるから,実質的にみても,前記の結論を覆すに足りる事情はない。

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