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平成29年(ネ)第10095号
卵凍結保存用具および筒状部材保持器具事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件各発明の無色透明なストリップは卵付着作業を容易にするものであるから,使用者が卵付着作業を開始する前の時点において「透明」又は「無色透明」な状態でなければならず,その時点で白色不透明なストリップを有する原告製品は本件各発明の技術的範囲に属しない,とされた。

 事件番号等:平成29年(ネ)第10095号(知財高裁 H30.04.30)
 事件の種類:債務不存在確認本訴請求,特許権侵害差止等反訴請求控訴
 判決:請求棄却
 控訴人(1審本訴被告・反訴原告):株式会社北里コーポレーション
 被控訴人(1審本訴原告・反訴被告):三菱製紙株式会社
 キーワード:透明,無色透明,卵付着作業
 関連条文:特許法70条

○知財高裁の判断

 卵付着作業には,顕微鏡下での作業に限定しても,①ガラス化液に浸漬した細胞又は組織を吸引したピペット等の先端と,卵付着保持用ストリップの卵載置部との位置を合わせ,②ガラス化液とともに細胞又は組織を卵付着保持用ストリップ上に滴下し,③実際に細胞又は組織が載置されていることを確認するという工程が含まれている。本件各発明においては,卵付着作業を容易にするために,無色透明なストリップが用いられているのであるから,「卵付着保持用ストリップ」は,使用者が卵付着作業(顕微鏡下で行われる工程を含む。)を行う際に「透明」又は「無色透明」な状態であることが必要であると解される。そして,本件各発明にあっては,使用者が卵付着作業を開始する前の時点において,すなわち,少なくとも,顕微鏡下で,①の作業をする前の時点において,当該「卵付着保持用ストリップ」が「透明」又は「無色透明」な状態でなければならないというべきである。
 原告製品においては,少なくとも使用者がガラス化液と共に細胞又は組織をPTFEフィルム上に滴下して付着させるまでは,当該PTFEフィルムが白色不透明であるから,原告製品における本件各発明の「卵付着保持用ストリップ」に対応する構成が,本件各発明の「透明性」又は「無色透明」をいずれも充足しないことは明らかである。

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