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判例情報


平成29年(行ケ)第10096号
非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 出願時の技術常識に基づいて,引用発明に内在する課題が認定され,また,相違点に係る容易想到性が認められた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10096号(知財高裁 H30.05.15)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(審決取消)
 原告/被告:田中貴金属工業株式会社/JX金属株式会社
 キーワード:出願時の技術常識,内在する課題
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件特許の優先日前に公開されていた甲4の記載からも,優れたスパッタリングターゲットを得るために,材料やその含有割合,混合条件,焼結条件等に関し,日々検討が加えられている状況にあったと認められる。甲1発明に係るスパッタリングターゲットにおいても,酸化物の含有量を増加させる動機付けがあった。
 面内磁気記録媒体用と垂直磁気記録媒体用の両者のスパッタリングターゲットの作製に当たり,それぞれの特性に応じた調整は必要であるとしても,その骨格となる組成や組織において共通するものを用いることは十分に想定できる。甲1発明に係るターゲットが面内磁気記録媒体の製造に用いるための物として開示されていたとしても,当業者は,甲1発明に係る組成,組織を有するターゲットを出発点として,作製しようとするターゲットの磁気特性等を考慮して非磁性材の含有量を調整し,相違点に係る発明特定事項を有する発明とすることは,容易に想到できる。
 なお、被告は,原告は無効審判において甲1と甲4との組合せや,甲1と甲6との組合せを無効理由として主張していないから,本件訴訟において原告がこの点について主張するのは失当である旨の主張をしている。しかし,原告の主張は,飽くまでも甲4及び甲6の記載内容を技術常識として主張しているところ,他の証拠にも鑑みれば,原告が主張する事項が,いわゆる公知事実に止まらず,本件特許の優先日において技術常識に至っていたことは,上記3において認定したとおりである。

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