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平成29年(行ケ)第10013号
乾麺およびその製造方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 油を全く使用しないことにより保存性を改良する主引用発明に,多孔質化を目的として油脂を添加することには阻害要因がある,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10013号(知財高裁 H30.04.27)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:日清食品ホールディングス株式会社/東洋水産株式会社
 キーワード:進歩性,動機付け,阻害要因
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 引用例1には,本件審決が認定したとおりの引用発明1A(前記第2の3(2)ア)が記載されている。
 引用例2(甲4)には,麺生地に常温で固型状をなしている食品用油脂類などを添加して,多孔質構造を有する乾麺を製造するとの記載があり,多孔質化を目的として油脂を添加することが開示されている。
 しかし,引用発明1Aは,既に多孔質構造を実現しているのであるから,課題達成のため,油脂を添加する方法により多孔質構造を形成する動機付けがあるとはいえない。
 また,引用発明1Aにおいては,乾燥麺が油を含んでいることによる酸化や劣化を課題の1つとし,その解決手段として,油を全く使用しないことにより保存性を改良することができるようにしたものと認められる。
 そうすると,引用発明1Aにおいて,「麺生地に主原料の総重量に対して0.5重量%よりも大きく6重量%未満の100%油由来の粉末油脂を含む」ようにすることは,上記のとおり,油を含んでいることによる酸化や劣化を課題の1つとし,その解決手段として,「油を全く使用しない」ことにより保存性を改良することができるようにしたことに相反するから,油脂を添加することには阻害事由があるというべきである。
 当業者は,多孔質化の実現のために粉末油脂を麺に添加するとの技術事項を引用発明1Aに適用することは考えないから,引用発明1Aに基づき,相違点1-1に係る構成を当業者が想到することが容易とはいえない。

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