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判例情報


平成29年(行ケ)第10088号
気泡シールド工法で発生する建設排泥の処理方法


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 甲1発明に,甲2発明又は甲3発明に開示された構成を適用することは,甲1に明示された課題解決の機序に反する構成となるから,そのような組み合わせをする動機付けがあるとはいえない,とされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10080号(知財高裁 H30.03.12)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:テクニカ合同株式会社/栗田工業株式会社
 キーワード:進歩性,動機付け,有機高分子凝集剤
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 甲1J発明は,短時間で気泡混入掘削ずりを固化し,運搬を容易にし埋土として,使用可能な改質土を得ることができる簡便な処理方法を提供することを目的としたものであり,カチオン性有機高分子凝集剤を気泡混入掘削ずりに添加混練することにより,粘土粒子等の負電荷を中和し,凝集させ流動性を除去することができるようにしたものであり,気泡周囲の泥膜が,電荷の中和により親水性を失い,凝集することによって破れて,気泡は混練によって容易に集合し,ずりから放出されるようにしたものである。そうすると,甲1J発明において,甲1に開示される課題を解決するために,「カチオン性有機高分子凝集剤を気泡混入掘削ずりに添加混練すること」は,必須の事項であるといえる。したがって,甲1J発明において,「カチオン性有機高分子凝集剤」を添加しないという構成にすることは,通常,当業者が容易に想到し得ること
ではない。
 甲2及び甲3はいずれも,シールド工法による排泥は「気泡シールド工法」により発生する気泡が混入した排泥に特定されたものではないから,甲2発明及び甲3発明において,気泡周囲の泥膜を破り排泥から気泡を放出するということを想到することは困難である。
 甲1発明において,負電荷を中和するためのカチオン性(陽イオン性)の高分子凝集剤に代えて,甲2発明又は甲3発明に開示されたアニオン性(陰イオン性)の高分子凝集剤を採用することは,通常,当業者が容易に想到し得るものではなく,甲1に明示された課題解決の機序に反する構成となるから,そのような組み合わせをする動機付けがあるとはいえない。

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