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判例情報


平成29年(行ケ)第10035号
空気極材料及び固体酸化物型燃料電池用空気極材料事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 結晶方位差が5度以上の境界によって規定される複数の同一結晶方位領域の平均円相当径で特定されたペロブスカイト構造を有する複合酸化物を主成分とする固体酸化物型燃料電池用材料の発明に係る出願について,サポート要件が認められた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10035号(知財高裁 H30.2.27)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:X/日本硝子株式会社
 キーワード:サポート要件,実施可能要件,訂正の適否,新規性,進歩性
 関連条文:特許法36条6項1号

○知財高裁の判断

取消事由4(本件発明1及び2のサポート要件に係る判断の誤り)

 認定事実によれば,本件発明1及び2が解決しようとする課題は,「測定温度:750℃,電流密度:0.2A/cmにおいて,固体酸化物型燃料電池の出力密度を0.15W/cm以上」とすることが可能な固体酸化物型燃料電池用空気極材料を提供すること(本件課題)である。そして,前記1(1)クの認定事実によれば,同一結晶方位領域の平均円相当径を0.03μm以上2.8μm以下とした空気極材料を用いたサンプルにおいては,空気極の結晶方位が揃い,電気化学反応速度が上がることによって,空気極の活性を向上できたため,出力密度を0.15W/cm以上にできた旨記載されており,また,同一結晶方位領域の円相当径の標準偏差を3以下とした空気極材料を用いたサンプルでは,空気極の出力密度を更に高くすることができた旨記載されている。
 上記認定事実によれば,当業者は,本件発明1及び2に係る所定の「平均円相当径」及び「円相当径の標準偏差値」を充足する空気極材料により,本件課題を解決することができると理解するものと認めるのが相当である。そうすると,本件発明1及び2は,本件明細書の記載により当業者が本件発明の本件課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められ,本件発明1及び2に係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号に規定するサポート要件を充足するものと認められる。
 したがって,本件発明1及び2に係る特許請求の範囲の記載が特許法第36条6項1号に規定する[サポート要件]を充足するとした審決の判断には,誤りはなく,取消事由4は理由がない。

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