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平成29年(行ケ)第10121号
はんだ合金事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件発明と引用発明におけるビスマスの含有割合が所定の範囲内であることの効果は共通しており,本件発明において引用発明におけるビスマス含有割合を超えた場合に顕著な効果を有するともいえない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10121号(知財高裁 H30.02.14)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(審決一部取消)
 原告/被告:千住金属工業株式会社/ハリマ化成株式会社所
 キーワード:合金,進歩性,顕著な効果
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件発明2~8においてビスマスの含有割合が所定の範囲内であることの効果は,「優れた耐衝撃性を得ることができ,また,比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても,優れた耐衝撃性を維持することができる」(本件明細書【0031】)ことにある。
 引用発明1~3においてビスマスの含有割合を上記好ましい範囲内とすることの効果は,温度サイクル特性を向上させること(引用文献【0027】)であるが,ここにいう温度サイクル特性とは,「-40℃から+125℃の温度サイクル試験を3000サイクル近く繰り返しても,微量なはんだ量のはんだ接合部にもクラックが発生せず,また,クラックが発生した場合においても,クラックがはんだ中を伝播することを抑制」する(引用文献【0021】)という性質である。温度サイクル試験後のはんだ接合部にクラックが発生せず,クラックが発生してもその伝播を抑制する効果が高まれば,厳しい温度サイクル条件下の耐衝撃性も高まるものといえる。そして,厳しい温度サイクル条件下の耐衝撃性が高ければ,そのような厳しい条件下にない場合の耐衝撃性も高いことが予想される。したがって,本件発明2~8におけるビスマスの含有割合を所定の範囲内とすることの上記効果は,引用発明1~3のビスマスの量を4.8質量%を超過し,5.5質量%までの範囲とする上記効果と比較して,格別顕著な効果であるとはいえない。
 以上より,引用発明1~3において,Bi:3.2質量%の数値を,相違点2に係る,「4.8質量%を超過し,5.5質量%まで」の範囲の本件発明2~8の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

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