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平成29年(行ケ)第10063号
ソルダーペースト組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件明細書の記載及び被告試験の結果のいずれからも,分子量が500より大きい酸化防止剤を含むフラックスを用いたことによる格別顕著な効果は認められない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10063号(知財高裁 H30.02.20)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(審決取消)
 原告/被告:千住金属工業株式会社/株式会社タムラ製作所
 キーワード:進歩性,はんだの再酸化,格別の効果
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 甲1文献を主引例とする進歩性の判断につき,前記のとおり,本件審決は,本件発明1は当業者が予測し得ない格別の効果を奏するものである・・・旨判断する。
 技術常識によれば,本件発明1,甲1発明いずれにおいても,はんだ付け性が低下する原因は加熱に伴うはんだの再酸化にあるということができるところ,甲1文献記載のはんだ広がり試験は,プリヒートを行うものではなく,また,共晶はんだも対象とされているためそれほど高い温度に加熱する必要はない点において,本件明細書におけるはんだ付け性試験とは異なるとしても,両試験は,はんだの再酸化が防止されているかどうかを確認したものである点で共通するものということができる。
 しかし,本件明細書には,ヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤として,分子量が500未満であるものを含むソルダペーストと本件発明1のソルダペーストを比較した試験は記載されていない。そうである以上,本件明細書の記載から,本件発明1は,分子量が少なくとも500であるヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤を含むことにより,甲1発明に対して顕著な効果を奏するということはできない。
 被告試験の評価方法は,結果がまず溶融又は未溶融に2値化された上で未溶融率を算出するため,溶融又は未溶融の判定基準の取り方次第で,結果として未溶融と判定されるパッドの個数につき判定者の主観による変動が生じ得る。・・・そうである以上,被告実験の結果は,フラックスD及びE(500より大きい分子量の酸化防止剤を含む)を用いて作製されたソルダペーストは,フラックスB及びC(分子量500未満の酸化防止剤を含む)を用いて作製されたソルダペーストと比較して,リフロー特性に優れるものであることを客観的に示すものということはできない。

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