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平成29年(行ケ)第10046号
有機物質に由来する揮発性有機化合物の吸着事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本願においては,Si:Alの原子比と、SiOとAlのモル基準によるシリカ/アルミナ比の表示形式を使い分けているから、「SiO:Al比が23:1」との記載は,「Si:Al比が23:1」の明らかな誤記であるは認められず,本願発明は格別顕著な効果を奏するものではない,とされた。

 事件番号等:平成29年(行ケ)第10046号(知財高裁 H29.12.13)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:アングロ プラチナム マーケティング リミテッド /特許庁長官
 キーワード:進歩性,明らかな誤記,請求項の記載との整合,モル比,原子比
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 原告は,本願明細書の【0048】及び【図3】において「SiO:Al比が23:1」と記載されているのは,「Si:Al比が23:1」の明らかな誤記であり,これを是正すると,本願発明において「Si:Al比が22:1~28:1」としたことによる顕著な効果が本願明細書の【図3】に示されていると主張する。
 ゼオライトの組成については,請求項におけるSi:Al比(原子比)による表示のほかに,慣用的に,SiOとAlのモル基準によるシリカ/アルミナ比(分子比)でも表示されていると認められるところ,本願においては,Si:Alの原子比を記載するときは,例えば,請求項1のように,右辺に1を表示した比で表示しているのに対し,【0034】のようにSiO:Al比を示すときは,ゼオライト中のSiOの存在量を,Alを基準としたモル数を表す「23」という単一の数値で表示しており,両者を使い分けているものと認められ,このことからすると,前記【0048】及び【図3】の表示方法は,むしろ,SiOとAlのモル基準によるシリカ/アルミナ比についての表示方法と一致するものであるといえる。
 そうすると,本願明細書の上記「SiO:Al比」との記載が,請求項の記載と整合していないとしても,「Si:Al比が23:1」の明らかな誤記であるとまではいえない。そして,これを前提にすれば,Si:Al比が「22:1~28:1」である本願発明が格別顕著な効果を奏するものであるということはできない。

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