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平成28年(行ケ)第10157号
酸味のマスキング方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 請求項1及び2に係る訂正(訂正事項1、2)は,当業者によって本件明細書,特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものといえるから,新規事項の追加に該当しない,として添加量の数値範囲の訂正が認められた。

 事件番号等:平成28年(行ケ)第10157号(知財高裁 H29.07.19)
 事件の種類(判決):無効審消取消請求(審決取消)
 原告/被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社/ジェイケー スクラロース インコーポレイテッド
 キーワード:訂正要件,新規事項の追加
 関連条文:特許法134条の2第9項,同法126条5項

○知財高裁の判断

 訂正事項1:請求項1の発明におけるスクラロース濃度の下限値(0.0028重量%)が製品に対するものであるのに対して,実施例2のそれは水分を含むきゅうりに合わせる調味液のスクラロース濃度であるという違いはある。製品としてのピクルスにおけるスクラロース濃度は,きゅうりに由来する水分により0.0028重量%よりも低い濃度となり,実施例2において酸味のマスキング効果が確認されたのであれば,スクラロース濃度が0.0028重量%の製品についても酸味のマスキング効果を奏することは,本件明細書の記載及び本件出願時の技術常識から当業者に明らかである。
 よって,スクラロースを0.0028重量%で「醸造酢及び/又はリンゴ酢を含有する製品」に添加すれば,酸味のマスキング効果が生ずることは本件明細書において開示されていたものと認められる。
 訂正事項2:本件明細書には,高甘味度甘味剤の種類にかかわらず,最少量は甘味の閾値の1/100以上の量で用いることが好ましい旨記載されており,甘味閾値の数値として,クエン酸(結晶)0.3%水溶液に対する甘味閾値が0.003%であることも記載されている。
 よって,「スクラロースを0.0000075~0.003重量%の量で添加する」を「スクラロースをその甘味を呈さない範囲で且つ0.00075~0.003重量%の量で添加する」にする訂正は,特許請求の範囲を減縮するものであり,その下限値も,本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものというべきである。

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