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判例情報


平成28年(行ケ)第10205号
加工飲食品事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 特定のメッシュ篩を通過しない不溶性固形分の重量によって規定される本件発明において,明細書には,篩上にメッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が残存する場合,水洗を施すことの記載があるが,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分の有無を判別する方法が開示されていないから,本件特許は実施可能要件及び明確性要件を充足しないとされた。

 事件番号等:平成28年(行ケ)第10205号(知財高裁 H29.06.14)
 事件の種類(判決):取消決定取消請求(請求棄却)
 原告/被告:キッコーマン株式会社/日本デルモンテ株式会社
 キーワード:実施可能要件,測定方法
 関連条文:特許法36条4項1号

○知財高裁の判断

 本件明細書の記載によれば,本件明細書には,測定対象のサンプルが水で3倍希釈しても「なお粘度を有している場合」であって,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に塊となって残存している場合には,適宜,水洗することによって塊をほぐし,メッシュ目開きに相当する大きさの不溶性固形分の重量を正しく測定する必要があることが開示されているものと解される。このような水洗を追加的に行った場合の測定結果は,本件測定方法による測定結果と有意に異なるものになることは容易に推認されることに照らすと,仮に,篩上に何らかの固形分が残存する場合に,その固形物にメッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が含まれているのか,メッシュ目開きよりも大きな不溶性固形分であるのかについて,本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識に基づいて判別することができる必要がある。
 本件測定方法によって不溶性固形分を測定した際に,篩上に残存しているものについて,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が含まれているのか否かを判別する方法は,本件明細書には開示されておらず,また,当業者であっても,本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識に照らし,特定の方法によって判別することが理解できるともいえない。

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