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判例情報


平成27年(行ケ)第10150号
炭酸飲料事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件発明の課題は周知であるが,その可溶性固形分含量は周知であったとまではいえず,また,公知例には,可溶性固形分含有量を操作することで当該課題を解決することが記載又は示唆されないから,本件発明は容易に想到し得るものではないとされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10150号(知財高裁 H28.12.06)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:ジェイケー スクラロース インコーポレイテッド/三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
 キーワード:進歩性,課題の周知性
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件出願日より前に出願された特許文献(乙27,30,39)の記載によれば,砂糖以外の甘味料の「甘味」を,砂糖の甘味1との相対比に基づいて表現することは,本件出願当時,当業者が慣用していたと認められる。そして,そもそも官能に係る「甘さ」に個人差や曖昧さが存在することや,測定条件の影響を受けることは,本件出願時における当業者の技術常識というべきであるところ,それにもかかわらず甘味相対比が利用されてきたということは,上記のような個人差や曖昧さ等は,甘味相対比の使用を困難にするほどのものではないということを意味するものといえる。
 本体訂正発明1は,「植物成分の豊かな味わいと炭酸ガスの爽やかな刺激感(爽快感)をバランス良く備えた植物成分含有炭酸飲料を提供する」ことを課題としているものの,これ自体は周知の課題である(甲1,2,5)。
 果汁が10%以上含まれた炭酸飲料の可溶性固形分含量を屈折糖度計示度で4~8度の数値範囲とすることは,甲2,3,5~7及び10~13の何れにも具体的に記載されてはおらず,本件優先日前から周知のものであったとまではいえない。また,甲1~3,5~7及び10~13の何れにも,可溶性固形分含量を操作することで,植物成分の風味と炭酸の刺激感(爽快感)のバランスを調整することが可能であると記載又は示唆されているわけではない。したがって,19.8~22.0重量%の果汁入り炭酸飲料である甲1発明において,植物成分の風味と炭酸の刺激感(爽快感)をバランス良く備えた炭酸飲料を提供するために,可溶性固形分含量を「4~8度」に調整することは,当業者が容易に想到し得ることとまではいえない。

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