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平成27年(行ケ)第10081号
ピタバスタチンカルシウム塩の結晶事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 甲3結晶及び甲5結晶は,引用発明1に基づいて当業者が容易になし得たものであるが,甲3結晶及び甲5結晶が本件発明1と同一の粉末X線回折の回折角(2θ)を有するとした点において誤りがあるとして,審決が取り消された。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10081号(知財高裁 H28.02.24)
 事件の種類(判決):無効審消取消請求(審決取消)
 原告/被告:日産化学工業株式会社/沢井製薬株式会社
 キーワード:進歩性,引用発明の認定,結晶の同一性
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

*本件発明1と甲3結晶及び甲5結晶が同一であるとした審決の判断は誤り
 本件発明1の構成要件Cにおいては,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶が15本のピークの小数点以下2桁の回折角(2θ)を有することにより特定されている。他方,本件発明1に係る特許請求の範囲(請求項1)には,上記回折角の数値に一定の誤差が許容される旨の記載や,上記15本のピークのうちの一部のみの対比によって特定される旨の記載はない。
 甲3実験及び甲5実験1における実験条件は,引用例1の記載及び本件優先日前の技術常識に基づき,当業者において適宜設定することが可能なものであり,引用発明1に基づいて甲3結晶及び甲5結晶を製造することは,当業者が容易になし得たことであったということができる。しかしながら,甲3結晶及び甲5結晶の粉末X線回折測定における回折角(2θ)の数値は,本件発明1の15本のピーク全ての回折角の数値とその数値どおり一致するものではないから,本件発明1と甲3結晶及び甲5結晶が同一であるということができない。
 そうすると,本件審決における相違点1-1に係る容易想到性判断は,引用発明1に基づいて甲3結晶及び甲5結晶を製造することは,当業者が容易になし得たことであるとした点に誤りはないが,甲3結晶及び甲5結晶が本件発明1と同一の粉末X線回折の回折角(2θ)を有するとした点において,誤りがある。

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