知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤事件

判例情報


平成27年(行ケ)第10105号
オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 添加剤が含有され得ることが周知の医薬液体製剤では,「からなる」の語は,単に「Aを含む」ものと解されるから,明確性要件を満たし,課題を解決できないことが技術常識である添加剤は当業者が選択しないだけであるから,サポート要件も満たす,とされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10105号(知財高裁 H28.03.09)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:ホスピーラ・ジャパン株式会社/デビオファーム・インターナショナル・エス・アー
 キーワード:明確性要件,サポート要件,添加剤,「からなる」の意義
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

*明確性要件を満たす
 例えば,含有する金属が一部異なると,特質が全く異なるものとなる一部の合金における分野等と異なり,医薬液体製剤については,pHの調整や,安定性,保存性を高めるために何らかの添加剤が含有される場合が多いことは,周知のことである。そうすると,明細書において,「からなる」の前に摘示された素材,構成要素以外の成分を排除することが明らかでない限り,「Aからなる」とは,Aを必須の構成要素とするものである以上に,他の成分については規定しておらず,単に「Aを含む」ものがその技術範囲に含まれると理解することになるものと解され,また,他の成分を排除するか否か規定していないからといって,「Aからなる」の語が,特段不明確な用語と理解されるものでもない。

*サポート要件を満たす
 有効成分濃度とpHが本件発明1の限定範囲内にあり,オキサリプラティヌムと水とを構成要素とするオキサリプラティヌム水溶液により,課題が解決することが示されていれば,サポート要件として欠けるところはない。原告の主張するように,「酸性またはアルカリ性薬剤,緩衝剤もしくはその他の添加剤を含む」場合に課題を解決しないことが当業者にとって技術常識であるならば,当業者は,本件発明で規定されているもの以外にそれらを選択しないだけのことであり,本件発明で規定されている構成要素によって課題が解決できなくなるわけではない。

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所