知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > ソルダペースト組成物事件

判例情報


平成26年(ワ)第29478号
ソルダペースト組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 結果的に鉛入りはんだに採用されていた構成を無鉛系はんだに転用することができなかったとしても,鉛入りはんだの無鉛系はんだへの置換の試み自体が妨げられることにはならない,とされた。

 事件番号等:平成26年(ワ)第29478号(東京地裁 H27.12.17)
 事件の種類(判決):損害賠償請求(請求棄却)
 原告/被告:株式会社タムラ製作所/千住金属工業株式会社
 キーワード:無鉛系はんだ,転用,進歩性
 関連条文:特許法104条の3 1項

○裁判所の判断

*鉛入りはんだの構成を無鉛系はんだに転用することの容易想到性
 ・本件特許の出願当時,無鉛系はんだにはフラックスの熱分解,低融点化,凝固偏析等の従来の鉛入りはんだにはみられない課題が複数存在していたことが認められるが,上記イで説示したとおり,無鉛系はんだ粉末を含有するソルダペーストの開発に当たっては,最初の試みとして鉛入りはんだを無鉛系はんだに置換することが検討されるのが通常であったといえるから,上記のような課題が存在し,結果的に鉛入りはんだに採用されていた構成を無鉛系はんだに転用することができなかったとしても,鉛入りはんだの無鉛系はんだへの置換の試み自体が妨げられることにはならない。

*分子量の大きなヒンダードフェノール系化合物を用いることの容易想到性
 ・認定事実によれば,無鉛系はんだ粉末を含有するソルダペーストにはリフロー時の高温におけるはんだの酸化等の課題があったところ,これを改善する手段として,分子量の大きなフェノール系化合物を用いることが有利であることが知られていたのであるから,乙1発明に接した当業者が乙1発明のソルダペーストに無鉛系はんだ粉末を用いた場合には,上記課題を解決するために分子量の大きなヒンダードフェノール系化合物を酸化防止剤として用いることは容易であったと認められる。分子量が500以上の酸化防止剤が複数知られていたことに照らすと,分子量の下限値を500とすることについても,格別困難であったとは認められない。

*小括
 以上によれば,本件発明は乙1発明に基づいて容易に想到することができたと認められるから,原告は被告に対して本件特許権を行使することができない。

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所