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平成27年(行ケ)第10042号
可撓性骨複合材事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

粒子全体として基材シートの表面から露出する粒子の密集度や露出粒子が占める割合を容易に変えられるとの引用例の記載では,個々のカルシウム系化合物粒子が基材シートから露出する程度を変える動機付けにはならないとされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10042号
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求(審決取消)
 原告/被告:シンセス(ユー.エス.エイ.)/特許庁長官
 キーワード:進歩性,動機付け,発明の認定
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

*進歩性あり
 本願発明と引用発明との相違点2は,実質において,本願発明における「個々のカルシウム化合物の顆粒」及び引用発明における「個々のリン酸カルシウム系化合物からなる粒子」,すなわち,個々のカルシウム系化合物粒子が基材シートから露出する程度の相違であり,本願発明は,引用発明よりも,露出の程度が大きいものと解される。
 本件審決は,引用例【0005】等の記載から,骨形成を促進する目的のためには,カルシウム化合物粒子の露出の程度が大きい方が好ましいことは,明らかであると判断した。しかし,これらには,リン酸カルシウム化合物粒子が基材シートに完全に埋入していたり,露出量が極端に少ない場合は,リン酸カルシウムと骨との結合が図られず,骨の補填が効率良く進行しないおそれがあること,基材シートの片面側にリン酸カルシウム化合物粒子の一部を露出させることにより,リン酸カルシウムと骨との結合が図られ,骨形成性が促進されることが記載されているにとどまり,露出の程度については,言及されていないし,示唆もない。引用例【0047】,【0046】の記載は,粒子全体に対して基材シートの表面から露出する粒子の密集度やそのような粒子が占める割合を容易に変えられることを意味し,各粒子が基材シートの表面から露出する程度を容易に変えられることを意味するものではない。
 したがって,本願優先日当時において,引用例に接した当業者が,個々のカルシウム化合物粒子が基材シートから露出する程度をより大きくしようという動機付けがあるということはできない。

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