知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > 渋味のマスキング方法事件

判例情報


平成27年(行ケ)第10119号
渋味のマスキング方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

本件訂正前後の本件発明の内容は実質的に同一であるから,本件発明における「甘味を呈さない量」が,スクラロースの使用量との関係でどの範囲の量を意味するのか不明確である,とした前件判決の拘束力が及ぶとされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10119号
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社/株式会社JKスクラロースジャパン
 キーワード:明確性要件違反,前件判決の拘束力
 関連条文:特許法36条6項2号,行政事件訴訟法33条1項

○知財高裁の判断

*明確性要件違反
 甘味の閾値は,技術常識上,ヒトが官能評価して測定するものであるが,複数ある評価方法のうち,本件発明において,甘味の閾値を具体的に測定する方法について,明細書上言及はない。また,甘味の閾値は,同一の高甘味度甘味剤でも製品中の渋味の種類あるいは強弱,塩味あるいは苦味などの他の味覚又は製品の保存あるいは使用温度などの条件により変動するものである。さらに,ウーロン茶,緑茶,紅茶(ピーチ風味),ブラックコーヒーの,それぞれの飲料において,スクラロースの使用量と甘味の閾値との関係は明らかにされておらず,本件発明の数値範囲と甘味の閾値との関係は規定されていない。したがって,本件発明は,本件訂正前後を問わず,一貫して,スクラロースを,ヒトの官能評価によって判明する「甘味の閾値以下の量」,かつ,飲料の全体の量から算定可能な「該飲料の0.0012~0.003重量%」という2つの独立した条件を満たす範囲内で使用することによって,渋みをマスキングできる効果を有する発明であるといえる。
 したがって,前件判決当時の第1訂正後の本件発明と本件訂正後の本件発明は実質的に同一ではないから,『「甘味を呈さない量」とは,0.0012~0.003重量%との関係でどの範囲の量を意味するのか不明確である』と判示された前件判決の拘束力が及ばない,とする原告の主張は,採用できない。

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所